こんにちは、分かりやすさNo.1社労士の先生の先生、岩崎です!
今回から、「労働者の退職と職場環境作り」をテーマに連載をお届けします。
全6回にわたって、退職に関する法的知識と実務対応、そして人材定着のポイントまでを徹底解説していきますね。
さて、いきなりですが皆さんに質問です。日本の労働市場といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?
日本の労働市場は、かつては「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」という三種の神器に支えられた「内部労働市場型」のシステムが主流でした。
このシステムの下では、労働契約の終了といえば定年によるものが当たり前であり、中途での退職は例外的な出来事として扱われてきました。ところが今、この常識が大きく変わりつつあります。
「就社」から「就職」へ ~労働市場の構造転換~
経済のグローバル化、産業構造の変化、そして労働観の多様化に伴い、労働力の流動化が加速しています。
かつてのような「就社」意識は薄れ、キャリアアップやより良い労働条件を求めて企業間を移動する「外部労働市場型」の雇用慣行が、特に若年層や専門職層を中心に浸透しつつあるのです。
こうした環境変化の中で、労働契約の終了、とりわけ労働者自身が主導する「退職」の法的処理は、企業の人事労務管理における最重要課題の一つとして浮上しています。
解雇だけではない「退職トラブル」の現実
「解雇」が労働契約法第16条の厳格な解雇権濫用法理によって規制されている日本法制下では、労働契約終了の圧倒的多数は解雇ではなく、辞職や合意退職の形をとります。
しかし実務の現場では、労働者の一方的な意思表示である「辞職」と、労使の合意に基づく「合意退職」の法的性質の違いが看過され、曖昧なまま処理されることで、後に「退職の撤回」や「不当解雇」、「退職金支給」をめぐる深刻な紛争に発展する事例が後を絶ちません。
労働契約終了の全体像を押さえよう
まずは労働契約終了の全体像を整理しておきましょう。労働契約の終了事由は、法的形成原因に基づいて分類されます。
第一に「当事者の死亡」があります。これは労働契約の一身専属性による自然的終了です(民法625条)。
第二に「契約期間の満了」。有期労働契約において期間到来により終了しますが、雇止め法理(労契法19条)による修正があります。
第三に「定年」で、就業規則等の定めに従い一定年齢到達により終了します。
そして「解雇」は使用者による一方的な解約告知で厳格な規制があります。「辞職」は労働者による一方的な解約告知であり形成権の行使です。最後に「合意退職」は労働契約の合意解除で、契約自由の原則に基づきます。
本連載では、このうち労働者の意思が関与する「辞職」および「合意退職」に焦点を絞り、その法的ダイナミズムを解明していきます。
次回予告
次回は、「辞職」と「合意退職」の決定的な法的相違について詳しく解説します。
この区別がなぜ重要なのか、実務上どのような帰結の違いをもたらすのか、しっかり押さえていきましょう。お楽しみに!
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